quinta-feira, 5 de novembro de 2009

4.日本を豊かに

 現在の日本は物量に乏しく、精神的にも、不満を感じている人が随分ありますが、これを他に求めなく共、自らで物心の豊かさを得ることが出来ます。
 精神的不満感の原因としては、自身及びその心の内にあるもの
と、社会的なもの、及び物質から来たもの等があり、又それ等が表裏に結び付いた、関連的な場合が多いのです。しかしこれも心の持ち方によって、不足感の整理は出来る訳ではありますが、通常殆どの人は、そうした心境に徹することは、不可能事でありましょうし、真の人間性に合った自然性を曲げた、不合理面が混在することもあります。そこでよく検べてみると、精神面で真実のあり方を知ると共に、物を豊富にすることと、社会機構を正しきものに組み建てることをも、相当重要視しなければなりません。
 物が足りなくなると、獣性が飛び出し、豊富になると徳性が戻り、有り余る程あると、真価を忘れ易くなるのが、普通の考え方で、中には、積めば積む程なお欲しくなる人や、又妙な事には、大局的の実質は少ない場合でも、目に付く近隣より多く持っていると一応気をよくし、他が失くすると、自分が増したように錯覚を起したりする、変な心理作用を持った人もあります。
 心は、物ではどうにもならぬ事も多く、愛憎の情等は物の問題を超越し、生命に迄も及びますが、物に心が結びつき、心持ちが物に現われ、又は物故に生命を賭けることもあり、物が心に与える影響も甚だ微妙なものがあります。
 心も、頭脳から放射する或る物質と云う説もありましょうし、意志の動きから物を造る事も出来たり、移動したりするから、表裏一体だと考える人もあるやも知れませんが、この問題は別に解明するとして、ここでは、物と心と生命を分けて考察してみましょう。
 尚社会機構の変革については、稿を改めて述べ度いと思いますが、私は常々高い所はそのままで、低い処から引き上げて、乏しい人を豊かに、足りない物を充たして行く方式を考えて居りまして、ここに日本を豊かにと採り上げていますのも、やはりその意図から発している訳で、日本が高ければ、他の低いところから手を付けるでしょう。理想社会は物心とも豊満でなければならない筈ですのに、日本の現状は、その何れもが他と比較して、甚だ低いことは何回か繰り返しました
 私は最も乏しい日本を豊かにする方法には、いろいろあると思います。富有大国と結び、国境を無くすること、世界の何処かから莫大な物資や優れた思想を入れる事、日本人が移住又は出稼ぎに出るか何かの方法で、人口を稀薄にする事等、外交的な措置が成されるなれば、急速に個人宛の物量資源は豊かになり、心も寛くなりましょう。
 このうちのある条項は、中国等には迎えられるかとも思いますが、今の状勢では、一寸出来ない相談でしょうし、再び爪牙を磨いて出掛けたり、憐みを乞い受けようと願っても、先方が歓迎しそうもありませんし、又当方としても、左様な事をし度くないでしょう。私としても、それは高い所を崩して、低きに持って行く事になりますから、避け度いです。
 移住出稼ぎ等の話が起っても、さきにも述べましたように、人格的に欠けた質のよくないのが先達で行くと、世界中の嫌われ者の実績が付きますし、人の嫌う職業が日本人の世襲的職業となり、
職業を通じて尚人々に嫌悪され、僻み等からも心が荒み、犯罪等社会悪の巣組む事にもなり、日本人全体の不評の因となり、かような人が地球上にあることは、世界の不幸で、自他共に不快な人生となります。そうしたこととは別に、交友・連繋・協調等外への働きかけを怠らないことは勿論ですが、一方内面的に考え直す事が今日の急務で、高い知性と能力と人格で、親交を深め、相協力して、努力を傾注するなれば、物も豊かに心も爽やかになり、住みよい社会が実現します。
 先ず物の面から見て、日本は甚だ貧乏国だと一般的には考えられていますが、一面からみると、必ずしもそうでもなく、優秀な知能を具えた人達が満員です。
 人口が多いと云うことは、限られた物に対しての比率からは、物が寡い事にはなりますが、その物を移動させたり、必要なものに造り変える仕事は、人間にも出来ますから、その人間が最も効率的に、物の価値を増すことをすれば、その比率は幾何でも変えられます。
 物は分解・化合・合成等により、様々な形に変り、人間に有効な物になったり、無用な物になったりしますが、これは一時的現象であって、その時、その場所、或いはそのままでは、無用又は有害な物でも、最も必要な物に変ったり、変えることが出来ます。そうした変化を最も上手に行なって、人間に最も必要な状態にして、要求を充たすなれば、決して乏しい等と託つ必要がなくなりましょう。
 こうした変化は、自然的にも生じますが、人の行為によって、自然現象を増補したり、全く人為的に変化有効化することによって、豊満になります。
 現在では必要物量が足りないようですが、足りないと欲求が生じ、欲求が起れば必ず工夫が加えられ、現に非常な熱意で必要物資の増産に専心され、それぞれ優れた実績が収められつつあります。米=(炭素+酸素+水素)×光熱=空気及び太陽等、肉=(炭素+酸素+水素+窒素)×光熱=空気及び太陽等ですから、空気を食物に造り変える研究をすること等で、空気は食べ切れない程日本にもありますから、戦争に注ぎ込む資材と努力と生命を切り替えて、研究室を設けましょう。
 日本を世界一に富ますものは頭脳であり、日本人は頭脳も亦、用い方によって素晴らしく働く筈ですから、湯川博士や有名無名の科学者達を、その道に没頭して頂けるよう、資料と費用と生活を、吾々で積極的に護り、心からなる声援を贈り度いものです。
 又心の世界を開拓し、心と物の結び付きを解明し、健康を増進し、人格を訓育し、真の幸福社会のあり方を検べ行なわんとする人々の活動を、易からしめるよう、大乗的見地から、協力致し度いものです。
 物を生産し、運搬し、販売する業者も為政者も、一日一時間の束の間も、そうした気持で一先ず低い日本を引き上げて、良い状態にすることで、世界に迷惑をかけないで、終局目標を世界幸福に置き、方向を違えないよう、持てる知能を傾け、力を集注してそれに協力することが、子孫永遠の真の幸福への近道だと思います。現に、今日沢山の間違いがあります。即座にこれを切りかえて、急転直下理想社会を実現するのが、この知的革命であり、私はそれに確信を以て発表した次第です。世界が二つ三つに分れていては、何時か何かが起り、今も毎日何事か起っています。愛し孫子を戦場へ送らないよう、頭の上から弾が降らないよう、先ず日本から実施して世界へ呼びかけましょう。
 以上は本号に「一卵革命を提唱す」の題名で呼びかける必要上、それに関連する一端を抽象的に述べたのみで、いずれ号を重ねるうちに、全貌及び各項目に亘り、具現方式等も書いてみたいと思います。御判読の程を。
           1954. 11. 27.

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